ここでは、研修の成果がなぜ出なくなっているかの理由と、今までの「ボトムアップ」と言われることとは本質的に異なる、予測困難な時代だからこそ必要なこの「新時代のボトムアップ経営」を経営に組み込む必要性をお伝えしていきます。

どうして、多くの研修は成果が出せなくなったのか?

 その理由は、経営層や人事担当者の考え方で研修をした場合、多くの社員はやらされ感があり一時的にはその気になっても、所詮他人事ととらえていつの間にか記憶から薄れていく・・・からです。
多くの人は他人から言われたことに抵抗を持ち、素直に受け入れることをしません。社会経験が長いほど自分の価値観だけで物事を判断しがちになってくるからです。  
 思い出してみてください、以前の集合研修の内容がどれほど社員の成長や仕事の成果につながっているかを・・・?   

 価値観が多様化してきたからこそ、これが旧来型の研修が役に立たなくなってきた理由です。 

研修の効果が出ていない会社の陥る危険な罠とは?

 しかし、今までこれで経営をやれてきただはないか? と思われるかもしれません。 
それは、会社の成長期はがむしゃらに引っ張り社員も走っていきます。
しかし、安定期を過ぎるとそのレールに乗った走り方になります。つまり完成されたビジネスモデルの上に乗って会社は走るようになります。
そうなると、新たな思考やチャレンジの機会も少なくなり、仕事でなく作業でもなんとなく仕事をしていると勘違いして組織は進んでいきます。     

 そうです、そして安定期や衰退期に入りかけのときに、コロナ禍などの経営環境の大きな変化があったときに、それに組織が対応できなくなっていくのです。

トップダウン経営がなぜ危険を招くのか?

 このような経営環境の時には、トップダウン型の経営だけでは経営判断が難しい場面がでてきます。 
   
 現代は、VUCAの時代と言われます。 
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語で、取り巻く社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の出来事が起こり、将来予測が困難な状況を意味する言葉です。
 このVUCAと呼ばれる予測困難な時代に、経営者が現場の肌感覚でないとわからないことを理解せずに経営判断をしたとします。
しかしそれにズレがあった場合、社員はそれに従って進みますが、考えをもたずに言われたまま進むと危険な結果を招くのは、ご想像の通りです。

 また、創業期から成長期にかけては、経営者がトップダウン型で会社を引っ張っていきます。しかし安定期になって、権限委譲を行い任せたと思っていても本来のボトムアップ型にならずに組織がうまく機能せず、多くの問題を抱えながら進んでいっている事例が、多くの企業で見られます。 そこに予測困難な経営リスクが発生すると、一気に経営や組織の問題が吹き出してきます。

 もはや、経営者や経営層だけの判断だけでは、限界をこえてきているのです。  

 このように、経営対して今までの「トップダウン」や「ボトムアップ」のどちらが必要かと言う組織論ではなく、激変する時代だからこそ新たな人事の問題を経営戦略の重要課題だと捉えてなくてはならないと言うことです。

 社員のそれぞれの能力を最大限に引き上げ、「心理的安全性」をもった組織として難局を乗り越えていかなければならない時代との理解をもつ必要があると思われます。    

新時代の『ボトムアップ型経営』とは?

 私どもが提唱する新時代の「ボトムアップ経営」とは、社員一人ひとりが考えて判断し行動していく意識を持たせ、組織を活性化させていく独自性を持った経営手法です。 
したがって社員に「自律」を求めた組織に変革する必要があります。しかし、これは長年依存型でやってきたことがいきなり自律型に変わることはまずありません。ましてやそれを集合研修などでやろうをしても難しいのが事実です。  
そこで、   
①キャリア開発・・・社員一人ひとりとキャリア面談をおこない、並行して各自がキャリアを築いていくための支援をする。     
②組織診断・・・面談内容を精査し、水面下の組織問題を洗い出す。並行して客観的な組織リソース診断をおこない、本質的な組織課題を明らかにする。  
③課題解決プログラム・・・本質的な課題を解決するプロセスを作成する。  ④組織開発・・・組織問題を解決する実践プログラムを実行し、同時に実務にリンクさせ、意識と行動の定着を図る。         

 多くの企業では、③から始めるので、複雑に絡み合った本質的な組織課題が見えないまま、表面的な課題改善だけをおこなうので、効果が出てもすぐに元に戻ってしまいます。